あらすじ
主人公のマコトは、母親・光子と共に生活している。光子は常にマコトのことを思い、献身的に育てているが、マコトはそれによって、息苦しさを感じている。ある日、光子が入院することになり、光子が死ぬことが決定的になる。マコトは自分自身に問いかけ、自分の人生を描き描けるように挑戦する。
感想
本作は、映画化、ドラマ化されて人気を博した。そして、小説は原作であり、本作は、そのエッセンスを大事にしつつ、既存作品にない言葉で、精神的に感情を描き出していると思う。私が一番感じたのは、本作は主人公であるマコトを深く深く描いた作品であるということ。小説でしかわからない内省的な場面や、心の変化が、丁寧かつ緻密に綴られていること。
また、光子の愛情が、息苦しいほど強かったということも示唆されている。私たちは、恐ろしくも愛されること自体が貴重であると改めて気づかされた。そして、物語は、母親と子どもという関係性を通じて、愛とは何かということを考えさせられた。
しかし、一方で、話の流れが少しごちゃごちゃしていると感じる場面がありました。特定の段階に移行した時に、物語に立ちはだかるものがなくなり、展開に緊張感を感じにくくなる場面がありました。
まとめ
『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』は、私を本質的なものに向き合わせた素晴らしい物語である。主人公であるマコトは、弱さと強さの間で揺れ動く心を持ち、それを丁寧かつ緻密に表現している。母親と子どもという関係性を通じて、愛とは何かと考えさせられた。しかし、物語の流れに少し混乱があったと感じる場面もあった。全体として、感動するとともに、物語の芯を噛みしめる作品であると感じた。
参照文献: 「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」藤沢周平
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