『羊と鋼の森』の感想

あらすじ

『羊と鋼の森』は、東北地方の山奥で鉄工を営む父と、その長男でピアノ調律師の自閉症の次男が織り成す物語です。音楽と工芸の技術が織り成す美しい物語で、同時に家族愛や自己実現のストーリーでもあります。

この小説は、鉄工という男臭い職業と、音楽やピアノといった女性的な要素が絶妙に調和し、独特な世界観を創り出しています。東北の厳しい土地でありながら、父親と次男のやり取りや人間関係が心温まるもので、読んでいるだけで自分自身が家族になったかのような気持ちにさせられました。

そして、次男の自閉症が物語の鍵となっています。彼がピアノ調律師としての仕事に向き合い、自分の能力に自信を持っていく姿には感動させられました。同時に、自閉症について理解を深めることもでき、多くの人々に読んでもらいたい素晴らしい作品です。

『羊と鋼の森』は、美しい書き回しが印象的で、感情移入できるキャラクター描写や物語の進み方が非常にうまく描かれています。また、読み終わったあとに癒されるような気持ちになれるのが良かったと思います。この小説は、文学ファンだけでなく、広く一般の人々にも愛されること間違いない作品だと思います。

全体的な評価は、「素晴らしい作品」という表現が相応しいと思います。

書籍情報

著者：吉田修一

発売日：2009年9月22日

出版社：文藝春秋