『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』

概要

この小説は、日本の推理作家・東野圭吾によるSF推理小説である。2011年に刊行され、第42回博光奨を受賞した。物語は、近未来の日本を舞台に、ある事件を解決することで自身の運命を変えようとする探偵と、世界の終わりを迎える中、彼と一緒に旅をする女性の物語である。

主人公の探偵・城崎龍司は、ある日自分の命が尽きることを知り、自分をトラックに轢かせようとする。だが、彼には未来予知能力があり、その能力を使って未来の彼がトラックに轢かれることを回避する。それがきっかけで、彼はある事件を担当することになる。

事件の舞台は、東京のある豪邸で起こった一件。そこで家族4人が死体となって発見されたのである。彼らがどのようにして殺されたのか、なぜ家族がすべて殺されたのかという謎を解くため、城崎はこの事件に挑むことになる。

だが、事件の捜査中に世界が突如「終わり」を迎えることが告げられる。城崎は自らを病床から救える薬を探すべく、若い女性のアリスと共にその道中に出ることになる。そして、ついに希望の場所にたどり着いた時、真実のミステリーが現れる。

私は、東野圭吾作品やSF小説が好きなため、この小説を手に取った。読んでいくうちに、ストーリー展開に引き込まれ、物語に没頭していた。東野圭吾にしては珍しいSF要素もあるが、作品のテーマはSFではなく、人間の心理であり、それに共感できる部分が多かった。

特に、主人公の城崎の孤独感や苦悩には共感を覚えた。彼が過去の自分と向き合い、自分自身を変えようとする姿勢や、彼と共に旅をしていくアリスとの心の交流は、とても感動的だった。

一方で、事件の真相が明かされた時の衝撃や驚きは、東野圭吾らしい面白さがあり、終わり方も非常に印象的だった。

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は、東野圭吾らしい推理小説とSFの融合が印象的な作品である。主人公の探偵とアリスの感動的な関係性や、事件解決の驚きに加え、人間の心理を描いた物語も魅力的であった。推理小説やSF小説が好きな人には、ぜひ読んでもらいたい一冊だ。

参考文献：『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、東野圭吾著、角川文庫、2011年