書評:「1Q84」村上春樹

あらすじ

東京で暮らす30代の出版社編集者、週刊誌のライターである主人公・川村達夫と、いわゆる「世界の死んだ穴」に迷い込んだ少女・天吾(あおも)の2人の視点で描かれる、奇妙な現実とは別の世界「1Q84」の物語。

感想

本作は村上春樹独特の世界観を楽しめる作品だ。登場人物の心情描写や場面描写に彼独自の詩的な表現が随所に用いられており、読者を奇妙で幻想的な世界へと誘う。

また、物語は二つの視点から描かれ、時には両方の視点が交錯することで緊張感を高める手法が用いられている。主人公の川村が行方不明になった時期に描かれる天吾の視点と、川村が目覚めた1Q84の世界で過ごす日常が折り重なることで、本作独自のリズムが生まれる。

ただし、川村と天吾の恋愛要素は物語の中心ではあるが、表面的な描写が多く、2人の心情や想いに踏み込んだ細かい描写が欲しかったと感じた。また、長さが3巻にわたっているため、読み応えがあるかもしれないが、逆に繰り返しの場面や細かすぎる描写がやや疲れる部分もあった。

まとめ

細かい描写が多く、独特の詩的な表現が魅力の「1Q84」は、村上春樹作品の中でも屈指の作品である。世界観に没入して物語を楽しむことができる一方で、恋愛要素に関しては物足りないと感じる部分もある。全体として、本作は村上春樹ファンにはぜひ読んでほしい一冊だ。

参考価格:1,000円


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