「坂の上の雲」レビュー

はじめに

「坂の上の雲」は、海軍将校として明治時代から大正、昭和にかけて多くの戦いを経験した秋山真之が、自身の経験を元に描いた小説です。本作は、主人公・三田村鳶魚が海軍兵学校を卒業後、日本の軍事力を高めるために奮闘する姿を描いた長編小説で、書き始めは大正時代前半から始められ、最終的には第二次世界大戦敗戦までに五十巻から成る大作となりました。

ストーリー

物語は、有能な軍人として将来を嘱望される三島村鳶魚が、南部鎮台に配属されたことから始まります。初めは、割れない壊れない器としての軍人像を学んでいた彼が、自らを徹底的に向き合い、人間性を優先しようとするようになっていく姿が描かれています。その後、鳶魚は日露戦争や第一次世界大戦、北朝鮮との戦いなど激動の時代を生き抜く中で、政治家や上官たちとの葛藤や人間関係、日本軍の変遷などを通して、成長していきます。

感想

秋山真之氏による「坂の上の雲」は、国策に翻弄された一人の将校の生涯を通して日本軍の歴史を描いた、戦記小説の金字塔とも言える作品です。戦争に対しての違和感や疑問を感じる場面もありますが、それと同時に将校としての使命感やプライド、親愛なる人たちへの思いやりを描く秋山氏の筆力には感銘を受けます。

まとめ

「坂の上の雲」は、戦争を描いた作品としても、人間ドラマとしても、非常に優れたものです。その描写の丁寧さや深みを際立たせるように、文体は繊細で、書き手の思い入れが伝わってくるものになっています。読み進めることで、秋山真之氏の優れた筆力と本作が持つ深みに触れられるはずです。