『ノルウェイの森』レビュー

概要

『ノルウェイの森』は村上春樹による小説であり、1987年に刊行された。物語の舞台は1960年代の東京と京都で、主人公であるトオルが、幼馴染のノノコや酸性雨で枯れていく自然と向き合いながら、自分の過去と向き合っていく姿を描いている。

20歳のトオルは、高校時代の親友であるキズキが自殺したことをきっかけに、キズキの恋人であるナオコと再会する。ナオコとトオルは共通の友人であったノノコを介して再会し、トオルは彼女の魅力に惹かれるが、ナオコは過去のトラウマから草食化しており、恋愛感情を表に出すことができない。

一方、トオルは大学の芸術学部で小説を学びながら、ノノコとの交流を続けていく。しかし、1984年に酸性雨によって木々が枯れていく様子を目の当たりにし、自然と人間との対立を感じるようになる。

『ノルウェイの森』は、村上春樹が長年に渡って培ってきた文章力が全面に出た傑作である。物語の中で描かれる人々の心情や生活に寄り添いながら、社会問題にも切実に問いかけている。

特に、自然との関わりをテーマにしている点は印象的であり、時代背景との関連性も深い。また、キズキやナオコなどのキャラクターが抱える心の葛藤や過去との向き合い方も、村上春樹の独特な文体で描かれていて、読者の共感を呼ぶ。

ただ、文章の中に散りばめられた多数の文学作品や音楽曲への言及は、一部の読者には深い印象を与えるが、一方で読み手によっては流れを妨げる要因にもなりえるかもしれない。

『ノルウェイの森』は、自然と人との対立や愛と過去との向き合い方について、村上春樹の独特な文体で描かれた名作である。多数の文学作品や音楽曲への言及があるため、読者の興味・関心次第で受け取り方は異なるが、内省的なストーリー展開が印象的である。