『羊の木』レビュー

概要

『羊の木』は、山本文緒氏による小説。2011年に刊行され、累計発行部数は200万部を超えるベストセラーとなっている。物語は1990年代を舞台に、主人公の女性が難病にかかり、それに向き合いながら本当に大切なものを見つけるまでを描いた感動作である。

ストーリー

主人公の女性、ゆきは、カフェを経営する傍ら、彼女の家庭教師だった男性と交際している。しかし、ゆきは難病にかかり、治療が望めない状態になってしまう。彼女は、余命宣告を受けた後、あるキャンプ場で出会った子どもたちと接したことがきっかけで、本当に大切なものを見つけようと決意する。彼女は、自分が望ましい人生を生きていたのか、自分の思い通りに物事を進めることが何よりも大切なのか…等々の人生の問いを抱きつつ、病気と向き合い生きることを選ぶ。

感想

本書は、女性たちが生きることの意義や、生きること自体に意味があるという繊細な描写が印象的であった。また、男女関係や、対人関係の描写もきわめて緻密で、登場人物たちの人間ドラマが深く感じられた。物語は、いかにゆきが自分のあり方に向き合い成長していくのかを描いた力強い作品である。
ただ、本書はヘヴィなテーマが多く、読む人を落ち込ませてしまうかもしれない。また、展開がゆっくりしたペースで進んでいくため、もう少しスムーズに進行すれば良かったと思う部分もあった。それでも、読後には心に余韻が残る作品であることは間違いない。

まとめ

『羊の木』は、重いテーマを取り扱っているものの、読み終わった後に心に残る、力強く感動的な作品である。人生に向き合い生きることは、誰しもが一度は考えるところかもしれない。そのような人生の問いに答えを見出す一助となることができる作品であり、読んで損はない。


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