『彼女がその名を知らない鳥たち』レビュー

ストーリー

主人公・日比野と藤岡は大学生時代からの親友で、仕事も同じ会社に務めている。ある日、藤岡は突然辞めてしまい、その日以来、日比野には藤岡からの連絡が届かなくなってしまった。

ある日、偶然再会した藤岡から、彼女・澤村かな子について相談を受けることになる。かな子は藤岡と浮気関係にあったが、彼女自身が結婚を考え始めたことから別れを切り出され、その後は全く連絡が取れなくなってしまった。

かな子との再会を果たした藤岡は、かつての関係を取り戻そうと奮闘するが、彼女の本心はいつも日比野に向けていた。そんな中、かな子は事故で亡くなってしまう。

感想

本作は恋愛小説というよりも、愛と別れ、死という生きることの根源的なテーマにフォーカスした作品であると思う。特に、かな子と藤岡の関係に揺れる日比野の葛藤は非常にリアルで、読み手に深い感銘を残す。

また、物語は時系列に追う形で進んでいくため、書き起こされた事件・エピソードが、登場人物の過去や未来に重ね合わされ、物語全体を緊密なものにしている。

加えて、文体が独特であり、短い文章を効果的に使った書き方が、登場人物の複雑で独特な感情を的確に表現していると感じた。

まとめ

「彼女がその名を知らない鳥たち」は愛と死を描いた感動的な小説である。結末に向けて徐々に高まっていく緊張感と、登場人物の葛藤が非常にリアルに描かれているため、一度手に取ったら中断できないかもしれない。読み終わった後に、長い時間をかけて考えることができる作品であると言える。


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