あらすじ
太宰治の自伝的小説『人間失格』は自分勝手な主人公である大学生の純・太郎の深層心理が描かれています。純・太郎は家族の人間関係に苦しむ中、暴力や酒浸り、女遊びなどの不良行為を重ねていきます。そんな彼が偶然出会った、同じ境遇の富江との出会いが物語を動かします。
感想
本作は非常に重たく、暗い世界観が描かれた作品です。主人公の純・太郎の深層心理が緻密に描かれ、主人公自身が自分に本音を語りかけるように書かれています。また物語の中に出てくる、富江が雨に打たれて泣きながら自殺するシーンは、絶望感があまりにも大きく、読んでいると本当に心が揺さぶられます。
ただ、本作は太宰治自身が自分自身の病んだ生き方を描いたものであり、小説としての面白さにはほんのわずかしかないと感じます。作品に登場する人物たちも個性的ながら、それ以上の深さが描かれないまま描き終えられているため、感情移入がしづらいとも感じました。
まとめ
『人間失格』は暗い世界観と主人公の深層心理が描かれた、太宰治の代表作として知られる作品です。ただ、小説として楽しめる点は少ないと感じました。あくまでも太宰治自身の病んだ生き方が詰まった、珍しい自伝的作品としてご理解いただければと思います。
参考文献:太宰治『人間失格』
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