『蜜蜂と遠雷』レビュー

第一印象

『蜜蜂と遠雷』は、伊坂幸太郎氏の作品の中でも異彩を放つ一冊だと感じた。初めて読む人には、伊坂作品としては異質な作風が驚きと興味を引くだろう。

ストーリー

本作は、社会人サークルのメンバーが集められて、「蜜蜂の巣」の謎を解き明かす事件を追う物語である。主人公である纏（まとい）は、「ムニエルの香りをする少女」の歌声に魅了され、彼女が残した物語を辿って、事件解決に挑むことになる。全体的には、伊坂流のスリリングな展開があるが、人間ドラマや音楽といった要素が織り込まれている。

キャラクター

本作のキャラクターは、個性豊かで、ミステリー要素と合わせて楽しめる点が大きい。特に、纏と「少女」の掛け合いが秀逸で、彼女たちの過去や想いが、物語をより深いものにしている。

解説

伊坂作品としては、斬新かつ奇想天外な世界観があるが、本作では音楽の力を扱った部分が注目される。そのために、音楽理論に詳しくないと、物語の解釈が難しくなる点もあるかもしれない。一方で、本作の音楽描写は、読者を感動の世界へと誘い、物語の深みを際立たせている。

評価

全体的に、『蜜蜂と遠雷』は、伊坂作品の中でも特に異彩を放っている。音楽という要素が物語の核心にあるため、音楽好きには特にオススメできる。ただし、ストーリー展開に「伊坂らしさ」が感じられない人には、親しみにくいかもしれない。

参考：『蜜蜂と遠雷』（伊坂幸太郎 著、新潮社）