概要
村上春樹による長編小説『1Q84』は、2009年5月から2010年3月まで新潮社の『新潮』で連載された後、同年5月に全三巻で刊行された。この小説は、1984年の日本とは違う世界[1Q84]を舞台に、二人の主人公が織り成すストーリーが描かれる。
本文
『1Q84』は、村上春樹の中でも特に壮大な作品である。とにかく、この小説は圧倒的なボリューム感がある。一般的な小説なら一冊分のボリュームが、全三巻にわたっているため、読み終わるまでの時間も相当なものになるだろう。
しかしながら、それに反してこの小説は、非常に読みやすいと感じる。村上春樹自身がファンタジー作品などへの思い入れが強かったためだろうか、語り口が比較的平易で、ストーリーも分かりやすい。
また、村上春樹作品の定番である、少し不思議で日常に潜む奇妙な要素も存分に味わえる。特に、二人の主人公の間の不思議なつながりや、ある登場人物が持つ不思議な力などは、非常に興味深い。
ただ、この小説には一長一短ある。一長は、村上春樹作品ならではの美しい文体と、読みやすさである。一方で、一短は、全体のストーリー展開についてだ。正直に言えば、全巻を読み終わった後にストーリーがどうだったか、と問われるとあまり端的に答えられないかもしれない。
何よりも、この小説を楽しむためには、時間を取ることが必要だろう。すぐに読み終わりたい、という人にはあまりおすすめできない。しかし、時間に余裕がある人や、村上春樹作品が好きな人には、是非とも読んでほしい作品である。
評価
・結局のところ、ストーリーには期待できないが、非常に美しい文体と、読みやすさが魅力の、村上春樹作品ならではの一冊。時間をかけた読書を楽しむ人におすすめ。
おすすめ度
★★★☆☆
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