『1Q84』村上春樹

概要

『1Q84』は、村上春樹が2010年に発表した長編小説。現代日本を舞台に、2人の主人公が織りなす複雑な物語。短編集『私をたずねてくる人』に収録された「年老いた村人と海」を連載したときに、こんなくだりが書かれている。「少女は5月、僕たちは6月を生きている。この1ヶ月だけに生きているのだ。もうすぐ7月が来て、8月とか9月とか10月とか、それから1年が過ぎていく。でもこの1ヶ月は2人にとっては本当に重要だった。2人にとっては永遠に続く1ヶ月だ。」『1Q84』は、このくだりから始まる、まるで2人のために書かれたような、奇怪で美しい物語である。

ストーリー

1984年の6月。主人公の1人、物語作家の父親を持つ青豆は、タクシーから降りた瞬間、自分が異世界にいることに気づく。異世界「1Q84」。青豆は、自分がここにいる理由、そして本当の自分が何者なのかを探すことになる。もう1人の主人公、体操の指導者である天吾もまた、異世界「1Q84」にいた。彼は、13歳のときに行方不明になった女性・出来はずだったあの夜に出会った少女のことを考えていた。2人は、すれ違うこともあるが、運命的に繋がっている。

感想

『1Q84』は、村上春樹らしい詩的な言葉遣い、不思議で奇妙な世界観が魅力。特に、青豆と天吾の愛は感動的で、作品全体のハートをなしている。ただ、物語の途中で設定が増えたり、詳細が明かされず、読者を混乱させる場面が多くあるため、集中して読む必要がある。しかし、それでも、村上春樹が作り出す「1Q84」の世界は、深い感動を与えてくれる。

参考文献：村上春樹『1Q84』新潮社