『羅生門』レビュー

はじめに

『羅生門』は、日本の文豪・芥川龍之介によって書かれた短編小説集で、1922年に発表されました。本作は、物語の中で描写される人間の欲望や嫉妬、弱さなど、人間の本質を描き出した、芥川龍之介の代表作の一つとされています。

本作は、3つの短編小説「羅生門」「芋粥」「鼻」から構成されています。それぞれのストーリーの概要を簡単に紹介します。

・「羅生門」：盗人が村の門にとりついたという事件が起こり、犯人が特定されるまでの過程を、4人の人物それぞれの視点で描いています。事件の真相は明らかにされないまま終わります。

・「芋粥」：貧しい男と妻の物語。妻が買った芋を粥にして、2人で食べようとするが、妻は夫に先に食べさせ、最後に自分が食べようとします。

・「鼻」：ある男性の鼻が、彼自身の体から別個の存在として逃げ出してしまうという奇妙な出来事が起こります。

芥川龍之介の描く人間の欲望や否応なしに湧き上がる感情は、非常にリアルかつ深いものを感じました。特に、一つの事件について、異なる視点で描かれる「羅生門」は、人間の視点の主観性を浮き彫りにしていて、興味深く読みました。

また、「芋粥」では、貧しさからくる妻の思いやりの心が、人間の強さを感じさせてくれます。「鼻」は、奇抜な設定とストーリー展開でしたが、それでも芥川龍之介の独特な文体が存分に発揮されており、読んでいて飽きなかったです。

本作は、人間の本質を深く描き出している、芥川龍之介の代表作の一つであり、文学ファンなら必読の一冊だと思います。特に、「羅生門」は、異なる4人の視点や主観性が、唯一の事件について描かれる様子が、非常に興味深く読み応えがありました。