本書の概要
『サピエンス全史』は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏による、人類史を総合的に捉えた本です。本書の魅力は、歴史学の基本的な概念を押さえ、多くの分野にまたがるモダンな見かたに加え、著者の独自の哲学的洞察力にあります。また、本書は基礎的な科学や生物学の知識を全く持たない人でも理解できるように、易しい言葉で書かれており、全体像から細部に至るまで分かりやすく説明されています。
読んで感じたこと
本書では、人類史全体を俯瞰的に捉えた上で、そのわずかな時代の中で人類がどのように社会を築き上げてきたかを、ユーモアと感嘆の心をもって語られています。人類史は、文化の進化に富んでおり、科学的または哲学的な分析が必要とされていましたが、著者たちは、その視点を利用して、人間が現在までどのように進化してきたのかフィクションのようなストーリーテリングで分かりやすく説明しています。
また、文化の進化だけでなく、それに伴ってどのような文化が生まれたか、社会が変化したことを説明しています。そして、そこで上がった問題を、現代にも適用し、人々がどのようにそれに対処したかを述べることで、人々がそれでも進歩している状況を明らかにしています。
読者にオススメしたいポイント
本書を読むことで、人間の進化を俯瞰的に捉えることができます。他の書籍では、時期や場所に限定された局所史の話など、限定された人類史の分野が主流であったことと比べれば、サピエンス全史はグローバルな人類史を語るという魅力に溢れています。そのような素晴らしい歴史を通信として語る本書は、様々な分野の方におすすめです。また、経済学、政治学、コンピューター科学、陶芸や料理のクラフト、電気工学、数学…と進化の中で生まれた学問が紹介される部分も、大変興味深いものでした。
まとめ
『サピエンス全史』について、著者は博学で豊富な知識を持ち合わせた方であり、それが物語の形をとって私たちに伝わります。人々がどのように考え、学び、意思決定をして、個人として、また、集合的に進化していくのかは、どのような背景であれ、常に人類史で重要な部分であると思います。全体を通して良く練られているストーリーと、ゲーム感覚の魅力的なフォーカスがあるため、ストーリーや学問を通じた学びにもなります。2021年に再発行された最新版で、文化の進化を通じたハックの方法も紹介されているため、プラスアルファで成功する方法を学ぶことができ、人生に対する視点が広がります。
そんな『サピエンス全史』を、心地よい構成音楽と共に読んでいく時間は、おすすめです。
コメントを残す