概要
『東京奇譚集』は、東京を舞台にした不思議な物語が綴られた短編集である。各作品は、東京のある場所や風景を舞台に、怪奇現象や不可思議な事件が展開される。本書は、著者の堀口大學が担当する探偵小説レーベル「青惑社」から刊行されている。
感想
本書は、不思議な雰囲気と東京の風景が織り成す、秀逸な物語が揃っている。特に、初めに収録されている「昭和30年5月23日(水曜日)」は、東京オリンピックが開催される前夜に起こった不可解な事件が描かれている。緻密に展開される物語は、最後まで読者を引き込む力がある。
また、本書は、各作品ごとに登場人物の心情描写が丁寧にされている点が特徴的である。そのため、物語の中にある不思議な現象や事件に対して、繊細な感情描写がマッチしており、読者に強い感情移入を与える。
しかし、本書の中には、解決されないまま終わる物語もあり、スッキリと終わらない作品もある点には注意が必要である。ただし、それが物語の特徴であり、作者の世界観を表していると言える。
おすすめポイント
本書は、東京を舞台にした不思議な物語が綴られた短編集という点で、東京好きな人には是非読んで欲しい作品である。また、探偵小説に興味のある人にも、緻密な物語展開や心理描写による、読者の感情移入を感じることができるため、おすすめである。
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