『世界の果ての神話少女』レビュー

概要

『世界の果ての神話少女』は、作者である中村航が描くファンタジー小説である。主人公である少女・アリスとその周りの人々が繰り広げる、人間と神話の世界が交錯する冒険譚が展開される。本書は、2017年に第6回ライトノベルEX大賞を受賞し、その後、角川スニーカー文庫から刊行された。全7巻。

物語

物語は、現代の日本とは別の世界、「彼岸島」で始まる。そこは、かつて多くの神話が生きた舞台であり、現在でも神話が生きる世界である。物語の主人公、アリスは、人間と神話の親を持つ、半ば神々しさを持つ「神話少女」である。アリスは、自分を生み出し、育ててくれた「彼岸島」から離れ、人間界で人生を送ることを決意する。そして、アリスは自らの生まれ故郷である「彼岸島」に戻り、神話と戦いながら、人間界と神話界を繋ぐ「架け橋」になることを選ぶ。

登場人物

アリス

神話少女であり、人間と神話の親を持つ半ば神々しさを持った少女。彼岸島で育ち、その後は人間界で育てられる。

ガブリエル

アリスと行動をともにすることになる、華やかな容姿を持ちながらも、恐るべき力を持つ「天使」。

トール

北欧神話を支配する「神」。アリスが立ち向かう存在。強大な力を持ち、人々からの信仰を得ている。

感想

本書は、人間と神話、現代と懐古の世界が交差する、ファンタジー小説の傑作だ。中村航氏の筆力は素晴らしく、登場人物たちの性格描写や戦闘シーンは迫力がある。特に、アリスが自らの意思で彼岸島に戻り、神話たちと交わりながら、架け橋になろうとする心意気が印象的である。また、彼女が成長していくのを見るのも楽しい。物語に登場する神話たちの設定も独自で、特異である。物語はシリアスではあるが、コミカルなシーンもあり、小説としての完成度が高い。全7巻という長編ではあるが、ぜひ読み通してみたい作品である。

評価

全体的に、『世界の果ての神話少女』は、登場人物や物語の設定、中村航氏の筆力も含め、高い評価を与えたいと思う。本書がファンタジー小説を好む人々にとって、不朽の名作となることは間違いないだろう。