『世界史の中でみる日本の偉人たち』

概要

『世界史の中でみる日本の偉人たち』は、歴史研究家である山口昌男による偉人論エッセイ集である。本書では、日本の偉人たちを世界史の中で位置づけ、その偉人たちがどのような時代背景の中で生きたのかを解説している。

本書は、世界史や日本史に詳しくない人でも楽しめるように、説明が分かりやすく書かれている。さらに、山口昌男の文章は、読み進めるうちに引き込まれるような力がある。また、本書で紹介されている偉人たちは、あくまで人間として描かれており、ひとりの生きた人物として迫真的に描かれている。

本書の中でも特に印象に残ったのは、坂本龍馬や徳川慶喜など江戸時代の偉人たちの描写だ。自分の歴史知識が乏しいと感じたが、本書を読むことで、改めて江戸時代の人々の生き様や思考が窺えたのは非常に感銘を受けた。

ただ、本書の中に出てくる偉人たちは、全員男性ばかりであることが気になった。女性の偉人についても、一定の評価を得ている人物はいると思われるが、本書には登場しなかった。もう少し多様な視点があってもよかったのではないかと思う。

『世界史の中でみる日本の偉人たち』は、分かりやすい文章と生きた偉人たちの描写が魅力的な書籍である。しかし、偉人たちの多様性については改善の余地があると感じた。とはいえ、日本史や世界史に詳しくない人でも楽しめる本書は、歴史を学びたいと思う人にはおすすめできる。