小説概要
『羊と鋼の森』は、鋼琴調律師を目指す青年・田辺耕作と、彼の師匠である調律師・岩谷能成の交流を描いた小説です。耕作が調律の技術を学んでいく中で、生業としての調律師としての生き方、人とのつながり、音楽や芸術の真価など、さまざまなテーマが扱われます。
レビュー
まず、この小説は音楽や技術に関心がある人には特におすすめしたい作品です。調律師という仕事に深く迫り、その技術や職業観を描くことで、読者にインパクトを与えます。また、音楽についても深く掘り下げており、音楽に込められた感情や表現力、人とのつながりについて考えさせられる場面が多くありました。
物語の展開も細やかで、登場人物たちの思いや心情、細かな仕事のやり取りなどの描写が丁寧に織り込まれています。特に、師弟関係に焦点を当てた部分は、共感しかけるとても心温まるエピソードが多く、読者の感動を誘います。
ただ、物語が進んでいく中で、時折淡々とした描写が続く場面があるため、若干ページをめくるのにつまらなさを感じることがありました。また、登場人物たちの内面的な表現が多いため、読み進めるにはある程度の集中力や読み取り力が必要です。
まとめ
『羊と鋼の森』は音楽や技術、師弟関係など、様々なテーマが掲げられ、舞台となる音楽学院や調律工房がリアルに描かれているという点でおすすめの一冊です。ただし、淡々とした場面や内面的な描写が多いため、読む時には集中力を要するかもしれません。
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