『君の膵臓をたべたい』レビュー

ストーリー概要

本作は、高校生の「僕」と、病気で余命が僅かな同級生「山内桜良」の交流を描いた小説である。

「僕」は普段から人との距離をとって生きてきたが、ある日偶然桜良の持つ「膵臓がん」の告知状を見てしまい、現実に直面させられる。その後、「僕」と桜良は、映画鑑賞や小説の読み合わせなどを通じて少しずつ惹かれあい、心の距離を縮めていく。しかし、桜良の病気が進展し、彼女の余命が短くなっていく中、「僕」は彼女との思い出を大切にしながら生きることを決意する。

本作の評価

本作は、短いながらも深~い感動を与える小説である。

作者の「住野よる」氏の感情表現が緻密であるため、登場人物の思考や心情がリアルに描かれ、読者に強い感情移入をもたらす。また、多くの人が直面することがない「病気」という問題を扱っているが、作者のうまさにより、誰もが共感できる普遍的なテーマにまで昇華させている。そして、結末に至るまでのストーリー構成が、読者の感情をしっかりと動かすためにある程度の起伏があり、飽きさせない。

ただし、中盤から後半にかけてのストーリーが、少し早く展開し過ぎている箇所がある。特に、「僕」と桜良の関係性が急激に変化する場面は、もう少し描写を多くして欲しいと思う。それでも、読者の感情は確実に揺さぶられるため、総合的には高い評価を与える。

まとめ

本作は、短い文章でありながら、親密な関係性の描写や、登場人物たちの葛藤、思い出の大切さといった、多くの人が抱える普遍的な感情をうまく表現している。物語の織り込まれたストーリー展開によって、読者は深く感動することができる。この作品が、多くの人の人生に深い影響を与えていることは、容易に想像がつく。


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