小説「花の鎖」のレビュー

概要

「花の鎖」は、2021年に発売された作家・町田暁子氏の小説である。幼い頃に庶民の父親を失った主人公・堀田春子が、当時の女性の社会制度や身分の差に立ち向かって生きる姿を描いた物語である。

ストーリー

春子が小さな頃に亡くした父親は、江戸の武士であった。しかし、武家の家柄を持ちながら堀田家の庶民として生きることが決まった父親は、母親と春子を守るために、命を落とすことになってしまった。

その後、母親は他界し、春子は彼女の友人である寺子屋の先生・森本紀夫さんと暮らすことになる。そこで、春子は身分を隠したまま、文化を学んでいく中で、様々な人と出会い、別れを経験し、成長していく。

感想

「花の鎖」は、現代でいうところの女性差別、身分の差に立ち向かう、女性の力強さを描いた物語である。主人公の春子は、自分の置かれた状況に不服を持ちながらも、自分自身の力で抜け出そうとする精神的な強さがある。また、周りの人々との関係性も、個性的で魅力的なキャラクターばかりで、読者は誰かと一緒に生きているような感覚になり、物語に引き込まれていく。

ただ、物語の中に出てくる歴史的な用語や文化に馴染みがない人には、少し難しいかもしれない。また、結構長い本であるため、読むのに時間がかかることもあるかもしれない。

まとめ

「花の鎖」は、女性の強さを描いた感動的な小説である。約500ページというボリュームであり、出てくる用語や文化が少し難しい部分もあるが、それだけに読者をしっかりと引き込むとともに、物語に感情移入できる。女性差別に胸を痛める方、また、女性の強さに共感する方には、ぜひ読んでいただきたい作品である。

（※参考）

タイトル：花の鎖

著者：町田暁子

出版社：文藝春秋

発売日：2021年