『残酷な翼』

作者:村田沙耶香

村田沙耶香の小説『残酷な翼』は、命をクルシカシというオリジナルの病気に冒された主人公・澄乃花を中心に展開されるサスペンス小説である。

澄乃花の人生には厳しい現実が待ち受けていた。父親に性的虐待され、母親に見知らぬ男と暮らされるなど、壊れそうな日々を送る彼女だが、たったひとつ心の支えとしているのは、かけがえのない親友であるさおりだ。しかし、突然さおりが行方不明になってしまい、彼女がいた場所には命をクルシカシという謎の病気を患った男性が現れる。さらに、澄乃花の周りでは不可解な事件が次々と起こり、彼女はすべての出来事に翻弄されながらもさおりを探す旅に出る。

本作は、病気をテーマに据え、壊れかけた人間の心理描写が描かれている。主人公・澄乃花はキャラクターとして非常に複雑であり、読むたびに彼女の心情に共感しつつも、深い哀しみを感じさせる。また、さおりを中心に描かれる友情の描写も感動的である。ストーリー全体にはサスペンス要素が含まれており、一度手に取ったら最後まで読まずにはいられない作品である。

村田沙耶香が自己の体験から、作品には暴力や性的暴力、虐待、殺人といった過激な表現が多く含まれているが、それらが主人公や物語の根底にあるテーマと密接に結びついているため、読み手が誤解なく受け取ることができる。すべてを象徴するかのような結末も感動的であり、一度読めば忘れることができない作品である。


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