概要
『ヒトはなぜ笑うのか?』は、機能神経外科医である岩井俊憲氏による書籍です。本書では、笑いという人間の行動について、脳科学や進化論、文化人類学などの観点から解説しています。
詳細
著者の岩井氏は、機能神経外科で脳神経外科医としても研究者としても活躍している方ですが、その研究の中で「笑い」に着目するようになったそうです。本書では、その岩井氏が「笑い」について数多くの研究や実験を行いながら、脳科学、進化論、文化人類学の観点から解き明かしている内容となっています。
本書は、3つのパートで構成されています。第1部では、笑いとは何か、人間にとっての意義や起源について解説します。第2部では、笑いの種類やその際に何が起こっているのかといった現象について解説しています。第3部では、笑いを利用した医療・療法の可能性についての考察が説かれています。
特に印象的だったのは、第2部での人間の笑いについて解説した章です。自己矛盾的な言動や、不条理な状況、タブーを破るような内容が笑いを誘うというのは、実際に見聞きしたことがあるため深く考えずに納得していた部分ですが、脳科学的観点から解説されると深みが増しました。言葉や状況の意味を脳が解釈し直すことによる、新たな発見や気づきを与えるコミュニケーションの一形態だった、と理解が深まりました。
また、第3部では、笑いを利用した医療・療法の可能性について考察が語られています。笑いは、免疫力を高めるといわれており、がんや心臓病に悩まれている患者さんたちにとって、笑いの効果は大きいと思われます。著者が実践してきた手品など娯楽の面白さを療法に取り入れる方法が紹介されており、考え方やアイデアが参考になりました。
まとめ
全体的に、本書は、「笑い」について深く理解したい人、医療現場を目指している人におすすめできる一冊だと思います。著者の解説が緻密でわかりやすいため、専門用語が多いにもかかわらず、初心者にも理解できる内容となっています。人間の本質について考察する上でも参考になります。
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