書籍「ノルウェイの森」のレビュー

あらすじ

村上春樹による小説「ノルウェイの森」は、1987年の日本を舞台に、主人公の青年、トオルの恋愛模様や、友人の死、精神病院での体験などが描かれています。トオルが深い愛を持つ女性、ナオミとレイコに出会い、恋愛を通じて青春を謳歌していくとともに、周囲の出来事にも翻弄されます。

評価

本作は、青春小説というくくりだけでなく、多様なテーマが盛り込まれていることが特徴です。友情、愛、死、狂気、心の闇など、読者に様々な感情を呼び起こします。村上春樹独特の文章と世界観も魅力的で、青春小説が苦手という人でも引き込まれます。

特に、トオルとナオミ、そしてレイコの心の葛藤や思考回路が、細やかに描かれていることが印象的でした。彼らが抱える問題は、誰もが抱えるかもしれない一般的なものから、思わぬ幻想や強迫観念など、個性的なものまで多岐にわたります。そのため、「こんなに自分と違う人がいて、こんなに奇妙な思考回路があるのか」と思わずにはいられませんでした。

一方で、物語全体が少し鬱々とした雰囲気に包まれているという欠点もあります。物語が進むにつれて、登場人物たちの心情はどんどん重くなり、ラストシーンもある種の救いがない印象でした。そのため、明るい物語や元気が欲しい人には向かないかもしれません。

まとめ

村上春樹の「ノルウェイの森」は、青春小説としてだけでなく、多様なテーマが盛り込まれた作品です。細やかに描かれた登場人物たちの心の動きが印象的で、読者に様々な感情を引き起こします。一方で、物語全体が少し鬱々とした雰囲気に包まれているという欠点があります。青春小説が好きな人はもちろん、異なる感性を持つ人も手に取ってみる価値がある作品だと思います。

参考文献：村上春樹「ノルウェイの森」（新潮文庫、2003年）