『怒り』by 東野圭吾

あらすじ

一人の男性、古谷慎之介が、娘を殺した犯人を見つけ出すために奮闘するストーリー。娘は2年前に通り魔事件にあい、犯人は特定されていない。しかし、古谷はある日、犯人を見つけ出す手掛かりを手に入れる。そして、自分自身の怒りと向き合いながら、犯人と向き合っていく。

感想

本書は、東野圭吾が手がけたサスペンス小説の中でも、特に強烈な物語である。古谷慎之介の怒りや苦悩が鮮やかに描かれており、彼が犯人を追い詰めていく過程には、どんどん引き込まれるという感覚がある。

また、本書には複数の視点があり、証言や回想によって物語が進んでいく。犯人を特定するために、古谷が繰り返し取り組むことで、物語全体が深みを増していくように感じる。

ただし、中盤まで物語が進んでも犯人の正体は判明せず、読み手が戸惑ってしまう部分もある。しかし、それは結末への緊張感を高めるためにあえての手法であり、最後まで読んだときには、ある種のスッキリ感が残る。

まとめ

『怒り』は、東野圭吾の代表作の一つと言えるサスペンス小説である。犯人を追い詰めていく主人公の激情が鮮やかに描かれ、全体的に緻密な構成がなされている。読み手を惹きつけるサスペンス構造が、十分に機能している作品であると言える。