書籍名 「ノルウェーの森」

あらすじ

村上春樹氏による小説「ノルウェーの森」は、20代の青年トルコが、友人の自殺や恋愛模様を通して、大学生時代から10年後の自分自身に向き合う成長物語である。
彼は死んでしまった友人の恋人「奈津子」に惹かれるが、彼女には自分から逃げようとする理由があった。そんな中、彼女との関係や、健康上の問題により、自身に精神的な負担がかかってくる。
そんな中、故郷のノルウェーの森を思い出し、彼女と一緒に訪ねたことで、少しずつ変わっていく自分自身を描いている。

レビュー

「ノルウェーの森」は、私が今まで読んだ小説の中でもトップクラスの傑作であると思える。村上春樹氏の独創的かつ、丁寧な文章が、どこまでも引き込まれる物語を深めている。
特にトルコの内面や感情描写は、多くの読者を魅了すること間違い無しである。また、登場人物たちのセリフを通じて表現される人間模様も非常に深く、共感できる部分が多かった。
ただし、村上春樹氏の作風に慣れていない人には、文章の長さや、哲学的な部分に飛び込むのに時間がかかるかもしれない。
全体的に、一度読んだら、何度も読み返したくなる素晴らしい小説であると思う。

シーンの一例

村上春樹氏の文章の見ごたえを体感できるシーンを記します。
春が訪れ、奈津子は歩いているトルコに出会う。二人は桜並木の道を歩くが、奈津子は早足であっという間にトルコから離れてしまう。
「君と話すと、寄ってくるような気がして。でも、そうしちゃいけないんだよ」
「どうして？」
「……わかんない、そうすると私が壊れてしまいそうで。だからと言って逃げるのも、どうやって逃げたらいいか、わからなくなって……結局、ぐるぐる回ってるだけなのかもしれない。」
普段は明るい奈津子が、そんな言葉を残して去っていく。トルコは、その意味がわからず、尚更彼女に惹かれていく。