概要
「夏の庭」は、山本文緒氏が著した小説である。新進気鋭の映画監督・幸田耕作が手掛ける映画化に向け、山本氏自身が執筆したということもあって、話題となっている作品だ。
ストーリー
物語は、夏の日差しがまぶしい中、柴犬のポメとともに田舎の古民家で過ごすゆかりを中心に展開していく。彼女は、数年前に急逝した母親の母であるおばあさんから、家の手入れを頼まれていた。家には、亡き祖父が収集していた様々な品々が残っていたが、古代出土品を始めとする美術品の価値が高いと知り、興味を持つようになる。そんな中、教育熱心なポメのおかげで出会った美術評論家の森田さんから、家の中に眠る美術品たちがどんな物だったのかを知ることに。
登場人物
・ポメ:柴犬の名前。犬=無邪気さ、心芯のあたたかさを象徴。
・ゆかり:おばあさんの娘。東京で仕事をしている。母親の死をきっかけに、故郷に帰るようになる。
・森田:美術評論家。かつて、ゆかりの父親と出会ったことがある。
感想
山本氏は、「夏の庭」を通じ、日本の美術や古道具などの魅力を再発見することを促してくれる。特にポメの愛らしさや、ゆかりが過去を知るために探求する姿勢に共感を覚えた。一方で、映画監督幸田耕作の作品については、ジャンルによってヒット作品から路線変更を行っていく可能性があり、製作側が山本氏の意図から脱線していないかが心配だ。興行的な成功を求められる昨今、作家と映画監督との関係性が問われる時代になってきていると感じた。
参考書籍:山本文緒「夏の庭」(新潮社)
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