はじめに
『君たちはどう生きるか』は、1937年に出版されたカズオ・イシグロ氏の小説です。物語の中心には、13歳の少年ルシアン・スティーブンスが、自分自身の人生を振り返りながら、かつての主人公スティーブンズ家の執事としての経験を回想する様子が描かれています。
ストーリー
物語は、第二次世界大戦前夜のイギリスで開催されたイベント「大宴会」に参加するため、スティーブンズと旅をするという形で始まります。スティーブンズは、執事としての自分自身を見失い、失ったものを振り返っていきます。
スティーブンズは、「真の職務」に忠実であろうとする一方で、自分自身の感情や欲求を抑圧し続けてきました。父親への尊敬、スティーブンズ自身の優秀さ、やがて恋愛感情までもがその抑圧の対象となります。
物語は、ふたりの男性による会話や、スティーブンズの招待主査とのやりとり、彼自身の回想によって語られます。最後には、スティーブンズが自分自身に向けられる自問自答によって、物語は終わりを迎えます。
感想
この小説は、イギリスの上流社会における男性たちの間に存在した、厳格なルールや礼節を描き出した作品と言えます。スティーブンズ自身が、感情を抑圧することを徳とする社会によって、自分自身を見失い、結果として身の回りの人々と距離を置いた生き方をしてきたように見えます。
この小説が描き出すものは、古い風習や社会の闇と向き合いながら、自己を見つめ、生まれ育った場所や人々、自分自身の過去、そして未来を決めることの大切さです。
まとめ
『君たちはどう生きるか』は、社会によって形成された自分自身の枠組みに縛られることなく、自分自身を見つめ、生きることの大切さが説かれた、重要な作品と言えます。ストーリーも深く、登場人物たちの葛藤や思いも細かく描写されているため、非常に読みごたえがあります。
コメントを残す