概要
「人間を操る技術」は、元エディターで現在はフリーランスの江上剛が、「人々が本来持っている認知的・感性的弱点を、商品やサービスの販売に利用する」技術を紹介した書籍である。商品やサービスのバイヤー側は、コピーライティングやマーケティングなどの技術を駆使して購買行動を促すが、本書の着眼点は買い手側にある。著者は、読者に対して「認知バイアスに気づき、自分自身に注意して惑わされないようにしよう」と訴える。
内容
本書は、大きく2つのパートに分かれている。1つ目は、「人間の思考・感覚システム」について詳しく解説されたパートである。人間の脳は、無意識・心理的欲求・ステレオタイプ・注意・思い込みなど、さまざまな側面から判断しているため、個人の感情的・思考的傾向に引っ張られてしまいがちである。そのため、購入意欲をそそるアイデアや商品の提供の強みがあるだけでなく、「購買意識を上げるためのメカニズム」についても明確に記載されている。
2つ目のパートでは、「商品やサービスのマーケティング戦略」について解説されている。興味を引くキャッチコピー、カラーコード、商品配列、価格設定などが詳細に説明されており、実用的な内容となっている。
感想
これまで、コピーライティングやマーケティング技術については多少の知識があったが、本書を読んで、自分自身を操る技術についての深い理解ができたと感じた。裏技のような情報が書かれているというイメージではなく、正直な説明や事例を紹介した内容であるため、説得力がある。記事でも紹介されているように、脳の歪みを理解することで、逆に損をしない購買ができるかもしれない。
まとめ
「人間を操る技術」は、商品やサービスを販売する側だけでなく、買い手側にも眼を向けた一冊である。購入時の思考・感情が脳の歪みによりそんなものになっているのかを知ることで、心理トリックから身を守りながら、自分自身を操り、優れた商品やサービスを利用するための目的に導くことができる。是非、一度手に取って読んでみることをおすすめする。
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