あらすじ
読者が主人公の視点で物語が語られる『火花』は、2012年に日本国内で最も売れた小説のひとつです。本書は、初等教育現場で教師として働く三崎を中心としたストーリーです。彼女は、同僚教師である笠井と口論になり、そのあと笠井が他界する事態になります。警察に拘束された三崎は、さまざまな人々との出会いを通じ、やがて自分が望んでいた仕事・人生の意味を再確認していく……という物語です。
感想
本書の一番の魅力は、普通の日常生活に潜んでいる切ない思いが、軽妙なタッチで語られているところにあります。彼女たち教師たちの悩みや苦しみ、子供たちの様子、周囲の人々の行動……どれ一つとっても、この小説は深い洞察力で描写されていると感じます。
しかし、教師という職業にこだわった描写は、他業種の人には理解しづらい部分があるかもしれません。また、個人的には、主人公の三崎が物語の進め方によっては途中で「わかってしまった、これで終わり」となるのが少し残念でした。
まとめ
『火花』は、小説に求めるものによっては単純、または難解な作品と受け取れますが、どのようにとらえても、大切なメッセージが詰まっていることは間違いありません。また、全体的なストーリー展開は、読み終わった後に改めて考えさせられる要素があります。教師が主人公という一風変わった面白さがあるため、小説好きの人にはおすすめできる一冊です。
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