『パチンコ』のレビュー

李木子が描く、戦後の韓国から日本に渡る朝鮮人一家の物語『パチンコ』は、家族や国家、差別、生き残りを描いた壮大なエポック・ストーリーだ。

ストーリー

主人公のサンヨンは、1920年代の韓国で生まれ、子どもの頃から差別や排斥を受けていた。やがて彼女は結婚し、夫とともに日本に渡る。そこでの孤独な生活を送りながら、パチンコ店を経営する祖母、父親、そして子供たちとの家族関係が描かれる。

物語は、サンヨンの人生を中心に絡み合う多くの人物たちの関係性が壮大に描かれていく。差別や貧困、親子関係、愛、人生の選択といったテーマを通して、物語は濃密に展開していく。

感想

肉厚なページ数に、丹念なリサーチの結果、細部にまで緻密に描かれる世界観が、本書の魅力だ。人間関係や戦後日本の社会情勢・文化を繊細な筆致で綴ることで、登場人物たちの人間臭さや哀しみがより強く感じられる。

一方で、時代や情勢の説明という堅苦しい部分があり、読み進めるのに若干の踏ん切りがいる。また、時代背景を知らない読者には、理解するのに苦労するかもしれない。ただ、全体としては、登場人物たちの人生に共感を覚えながら、壮大に描かれた物語に引き込まれる素晴らしい本である。


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