書籍名:「斜め屋敷の人々」

著者:川端康成

この本は、昭和初期に東京で暮らす貧しい家族の物語です。一見普通の家族の物語に見えますが、実は家族の暗い過去が描かれています。

主人公の田端家は、斜めになった屋根屋敷に住んでいます。家族構成は、父親の京一、母親のよし、長男の文吉、次男の保吉、そして青年期の長女・秀子の5人です。父親は、かつて刑務所に入った経験があり、家族に負い目を感じていました。母親は、夫に対して頑固な性格で、よく口喧嘩がありました。文吉と保吉は、不良グループに入って悪さをしていました。

物語は、突然訪れた秀子の婚約相手である大学教授・灰谷との出会いから始まります。灰谷は、教え子から聞いた秀子の姿に魅了され、彼女にアプローチしていきます。しかし、秀子は自分の異母兄弟であることや過去を知ってしまった灰谷に対して葛藤を抱えます。

この本は、とても暗く陰鬱な雰囲気がありますが、描写が非常に丁寧で、川端康成の詩的な表現力の高さを感じます。また、登場人物がそれぞれに個性的で、それぞれの葛藤や関係性が深く描かれている点も魅力的です。

全体的に、この本は感情移入がしやすく、読み終えた後にしばらく余韻が残ります。また、川端康成らしい美しい言葉遣いが印象的で、文学好きな方にもおすすめです。


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