「告白」

概要

「告白」は、乙一氏による小説です。学校の教師が生徒に恋心を抱いたことをきっかけとして、事件が次々と起こります。物語の展開は、一人称視点を軸に、当事者たちの証言が交錯しながら進んでいきます。

感想

読み終わった後、強烈な印象が残った小説でした。人間の欲望や狂気、そして「真実」とは何かといったテーマが描かれています。物語の中で描かれる人物たちの複雑な心理描写は見事で、読んでいる間に彼らに感情移入してしまいました。

特に、事件を引き起こした少女・湯川美智子の人間性について深く考えさせられました。彼女には善悪の線引きがなく、自分がしたことを「正論」として曲げることができる怖さがある一方で、被害者たちへの思いやりや、自分自身に対する葛藤など、人間らしい要素も描かれています。

ただ、本作はあくまでもフィクションであり、事件の描写が過剰になっていると感じる箇所もありました。また、読者によっては暴力や性的描写がショッキングな内容と感じることもあるかもしれません。

総評

物語の結末は意外かつ衝撃的でしたが、それもひとつの真実だということを感じさせてくれます。本作は、単なるサスペンス小説ではなく、読者が心を揺さぶられるような作品です。乙一氏の才能に改めて感服しました。