概要
「蟹工船」は、川端康成が1933年に発表した小説である。全12章から成り、日本の漁村から蟹を運ぶために出航した船の運命を描いている。
ストーリー
物語は農村の少年・孫作が、上京して働く親戚を訪ねることから始まる。しかし、孫作は大都会のあまりの騒音に我慢できず、結局漁村の父親のもとへ戻る。父親は孫作ら3人を集めて、蟹を運ぶための船員を募集した。
一行は、嵐の中を蟹工船に乗り込み、北海道へ向かう。しかし、途中で船が故障し、蟹を守るために苦労を強いられる。さらに、一行に食物が足りなくなり、次々と船員が病気に倒れてしまう。しかし、孫作が持っていた幼馴染の写真を見たり、病気をした船員たちに世話をしたりすることで、一行は厳しい状況を乗り切ることができた。
結局、一行は目的地である蟹の市場に到着するが、商人たちに騙され、大変な苦労を強いられる。孫作は、この経験から人間の欲望について真剣に考えるようになり、物語は終わる。
感想
この小説は、船員たちが運命に翻弄される姿をリアルに描写している。作者が、船員たちの苦しい状況を体験したことが反映されているのかもしれない。特に、食物や医療品がないという場面では、読者としてとても辛い気持ちになった。
また、物語の中で孫作が幼馴染の写真を見る場面が印象的であった。彼女を思い浮かべることで、孫作は少しでも心の支えを得ていたように思える。
結末は、商人たちが欲望に溺れ、一行を騙すという暗いものである。しかし、この暗いエピソードも、人間の欲望や権力について考える機会を与えてくれる。
全体的に、この小説は力強く、深いメッセージを持った作品であると感じた。個人的には、川端康成の作品は初めて読んだが、非常に感動的な作品であったと思う。
参考文献: 『蟹工船』川端康成、新潮社 (1933)
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