書籍レビュー:「羊の木」

概要

「羊の木」は、西加奈子による小説である。物語は、ある町に住む平凡な主婦・里子が、夫との日々の喧嘩や親の介護、そして少女時代に思い残すことがあることなどに真摯に向き合いながら、不思議な人物・野口さんとの出会いを機に、奇妙な夢と現実が交錯し、まるで幻想のような世界を描いていく。

感想

「羊の木」は、夢と現実が交錯する不思議な世界観が魅力的な小説だ。主人公の里子を中心に、夫婦関係や人間関係、過去のトラウマなど、人生に付き物の問題がリアルに描かれている一方で、不思議な人物・野口さんが現れ、リアルな世界に連れ戻される前に里子を濃密な夢の世界へと導く。この「現実と夢の狭間」という二つの世界が交錯する構造は、読者を引き込んで離さない。

また、小説の文体も独特である。西加奈子は、独自のリズム感、言葉の選び方によって、夢という不確かな世界を表現している。単語の間隔を空けたり、話者を特定せずに一人称・二人称を交互に使ったりすることで、常識からほんの少し外れた不思議な世界を読者に感じさせる。

まとめ

「羊の木」は、夢と現実が交錯する不思議な世界観が魅力的で、文体も独特である。物語を通じて、人生における問題や迷いに真正面から向かい合うことの大切さを感じさせられる。西加奈子の作品の中でも、特におすすめしたい一冊である。


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