「ラビリンスの麗しき罠」のレビュー

概要

「ラビリンスの麗しき罠」は、夢野久作による小説である。本作は、主人公である舞踏家・天衣ナツメが、謎の富豪・兜甲児郎から発せられた舞踏家としての挑戦を受けるも、奇妙な世界へと迷い込んでしまうという物語である。

「ラビリンスの麗しき罠」は、ナツメが謎の富豪・兜甲児郎から発せられた挑戦を受けるところから物語が始まる。兜甲児郎は、ナツメに3つの舞踏を踊るように要求し、成功すれば高額の報酬を与えると約束する。

だが、ナツメが舞台に立つと、その舞踏は彼女を奇妙な世界へと誘う。ナツメは、人間たちが生活する細長い村、謎の放射能を放つ太陽、白い鍵を持った壺など、非現実的なものばかりが飛び込んでくる世界で、兜甲児郎の罠に囚われていく。

一方、ナツメとともに事件に巻き込まれる美貌の男・風間、美少女医師・寧、そしてナツメの恋人・彦太郎たちは、ナツメを救い出すべく、彼女のいる世界へと向かう。

夢野久作の代表作のひとつである「ラビリンスの麗しき罠」。本作は、舞踏をはじめとする芸術に対する想いや、不思議な一面が散りばめられた独特な世界観が魅力的な作品となっている。

また、登場人物たちにはそれぞれに秘密や闇があり、読者の興味を引く力がある。特に、強靭な精神力を持つナツメや、彼女を愛する彦太郎たちが、非現実的な世界で生き残りをかけて奔走する姿は見応えがある。

「ラビリンスの麗しき罠」は、非常に奥深く、何度読んでも新しい発見がある作品である。芸術や不思議な世界が好きな人にはおすすめの一冊だ。

※この作品は、1926年に初めて発表された「ラビリンス」という短編を、後に加筆・修正しているため、巻末には初出版時の草稿が掲載されている。