書籍名：ノルウェイの森

あらすじ

主人公のワタルは、かつて親友だった高校時代の恋人、ナオコに会うために東京へ戻る。ナオコに再会したワタルは、彼女が結婚していることを知り、彼女の夫の静まりかたに驚愕する。そこで、ワタルは自分自身と向き合い、青春時代の出来事を振り返っていく。

感想

この本は、青春時代の淡い恋愛と、それに縁と結びつく人生観がテーマとなる作品である。村上春樹氏の特有の書き口で、登場人物たちの持つ内面の複雑な感情が丁寧かつ美しく描かれている。一方で、登場人物たちの暴力的な病的な面も描かれるため、心を痛める場面もある。

また、村上氏が喫茶店での一コマを丁寧に描写するシーンが多く、それが物語の雰囲気をより深く印象付けることができる。

構成的には、主人公のワタルの回想という形で進行するため、全体的に懐かしい雰囲気が漂っている。しかし、最後の方に突然訪れる出来事によって、物語が一変する緊張感のある展開も見られる。

評価

総じて、青春時代の重要性や、過去と向き合うことが人生にとって重要だというメッセージが込められた素晴らしい作品だと感じた。ただ、登場人物たちの悲しみや苦しみが深く描写されるため、心に重い荷物を残す作品であるとも感じる。