概要
「東京タワー」は作家、リリー・フランキーによる自伝的小説である。主人公のリリーはアルコール中毒や浮気など、自堕落な生活を送る中で、母親の入院を機に自己の在り方を問い直す。東京タワーというシンボル的な存在が登場することで、都市と個人の関係性も描かれる。
内容
本作は、もともとリリーが自筆した「死ぬまでにしたい100のこと」を元に、脚色されて作られた小説である。物語はリリーの思春期から大人になるまでの過程を辿りながら、彼女が抱える問題や性格などが描かれる。彼女は中学時代にクラスの文化祭で「放送委員」を担当してからラジオ好きになり、その後フリーターとして働く中、ラジオDJへの憧れを持ち続ける。そして、半ば偶然の出会いからラジオ局へと入社する。
しかし、そこでの生活は思ったほど甘くなく、アルバイトを掛け持ちしながら日夜働き続けることになる。過労や限界を超えた身体拒否反応もあらわれる中、アルコールに溺れるようになる。そんな時に母親が突然の入院をし、自分自身と向き合うことを余儀なくされる。
母親の入院先に立つ「東京タワー」は、リリーの成長や変化を象徴する重要な場所として登場する。また、東京の景色や文化に出てくる言葉遣いにはリアリティがあり、物語の舞台がリアルに感じられる。
感想
本作は、リリー自身が主人公の小説であるため、非常にリアルな描写やストーリーになっている。彼女がどのように成長し、変化していくのかをリアルに追うことができる。特に、アルコール依存症や自己肯定感の低さといった問題に悩む人にとっては、救いの手を差し伸べてくれるような作品だと思う。
また、東京タワーを中心に描かれた都市との関係性も興味深い。東京は、個人が大都市の中で自分自身を確立し、成長していく場でもある。そんな厳しい都市の中で、自分自身を見つめ、外からも中からも支え合うことが必要だということが、本作から教わった気がする。
おすすめ度
本作は、自己啓発書としても読める良作である。また、リアルな描写から、フランキーの自伝的小説としても素晴らしい出来である。個人的にも、非常に感動したので、全ての人に読んでほしいと思う。そのため、おすすめ度は、10点満点で10点となる。
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