「ノルウェイの森」レビュー

あらすじ

松本清張賞を受賞した村上春樹の代表作、「ノルウェイの森」。主人公である早稲田大学に通う学生のトルウェイは、高校時代の親友、キズキの自殺を機に、キズキの恋人である直子と出会う。直子との間には深い絆が生まれるが、それによって彼女自身も精神的に追い詰められ、やがて自殺を図る。

感想

本作は、青春を扱った小説であるが、根底には死や虚無感、孤独などを描いた哲学的なテーマが強く浮かび上がってくる。特に、キズキの自殺のシーンは非常に印象的であり、その後のトルウェイや直子の思考や行動にも深く影響を与えていることがわかる。

また、村上春樹独特の描写も魅力的であり、心に残るシーンが多く存在する。例えば、直子がどんどんと鬱屈していくシーンや、夜の森でのトルウェイの心の変化などは、非常に印象的である。

しかし、一方で、本作のストーリーはあくまで登場人物たちの内面に焦点を当てたものであり、物語の流れや状況設定はあまり重視されていない点が少し残念であった。そのため、物語が進むにつれ、深い哲学的な話よりも、物語を進めることが重要なのかという疑問が浮かんできた。

総評

「ノルウェイの森」は、青春小説として、死や孤独といった哲学的なテーマを扱った小説として、どちらの側面からも読むことができる作品である。村上春樹独特の描写が魅力的であり、心に残るシーンが多く存在する。ただし、物語としての流れや状況設定が物足りなく感じられる部分もあり、個人的には、ある程度哲学的な話に重点を置いてほしかったと思う。全体としては、青春小説としても、哲学的な小説としても、高い評価を与えたい。


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