概要
『1Q84』は村上春樹氏が2011年に発表した小説で、村上氏の代表作の一つとして知られています。物語は、1984年に1Q84と呼ばれる異世界に迷い込んでしまった主人公の悠貴と彩子が、そこで偶然再会するまでの様々な出来事を描いています。
内容
『1Q84』の主人公は、元気な少女だった彩子と彼女を性的虐待から救った少年の悠貴です。物語は、27歳の彩子が編集者として働く出版社のビルに向かう途中の出来事から始まります。突然、彩子がいる世界とは違う異世界である1Q84に迷い込んでしまった彩子と、少年時代からの呼び名である「天吾」と名乗ることになった悠貴の物語です。
1Q84では、人々が不思議なことを言っていたり、見たことがない動物が出現したり、並行して存在する違った現実があったりと、現実とは違う世界観が展開されます。悠貴が出会う、人類に対して害を成す存在である「小松原」や、彩子が仕事をする出版社である「緑の書房」といった固有の名称も登場します。物語はこの両者が絡み合い、最終的には彼らの運命がどうなるかが描かれます。
感想
『1Q84』は、繊細な描写と抒情性が光る村上春樹氏の代表作の一つです。物語は不思議な世界観を描きつつも、登場人物たちの内面的な葛藤や感情移入ができるように描かれており、全編を通しての物語の流れにも自然なバランスを保っています。
また、本作品にはフェミニスト的な要素が含まれていると感じました。特に、性的虐待に苦しむ女性たちに対する描写は深く、格好良い女性キャラクターとして描かれる彩子にも、傷つく人間としての複雑な面があります。村上春樹氏の作品は、読者が想像力を働かせることが必要な面がありますが、その分読者に余韻を残すような魅力があります。
まとめ
『1Q84』は、充実した時間をかけて読める村上春樹氏の傑作です。世界を独自の色彩で描いた不思議な世界観や、登場人物たちの内面描写、フェミニスト的な描写など、様々な読み所がある作品です。村上春樹氏が持つ優れた文学的技量を存分に堪能できる1冊となっています。
参考文献:
- 『1Q84 BOOK3』村上春樹 講談社、2011年
コメントを残す