あらすじ
20歳になったトオルは、20歳の誕生日に彼女であるナオコが自殺してしまったことから、長い時間をかけて自分を取り戻そうと考え、東京から京都にある大学へ転入した。そこで彼は、かつて同じ大学に在籍していた元恋人のレイコや、様々な人物たちと出会い、成長していく中で、ナオコに対しての向き合い方を模索していく。
感想
この小説は、フランス文学に影響を受けた美しい言葉と、物語の中に描かれる若者たちの心の葛藤が魅力的だ。また、小説の舞台となる1980年代の日本の文化風景も緻密に描かれており、当時を知る人にとっては懐かしさや思い出が蘇ってくることだろう。
主人公トオルの内面描写が細かく描かれており、読者は彼の悩みや苦悩を共有することができる。特に、自分が自殺した最愛の彼女ナオコに対する葛藤は、胸を打つものがある。一方、彼が出会う人物たちも、それぞれに魅力的であり、個性豊かなキャラクターたちが物語を牽引する。
また、作品中には、様々な環境問題や政治問題についても言及されており、社会派の要素も含まれている。全体として、小説は大きなテーマを扱いつつ、細部まで丁寧に描写しており、読み応えのある1冊となっている。
評価
本書は、緻密な描写や心理描写、社会派の要素などが含まれた、文学的な作品である。盛り上がりに欠ける場面もあるが、それでも、深い感情が描かれた青春小説として、皆さんにおすすめできる1冊である。
※本レビューは、あくまで筆者個人の感想であり、他の読者の感想と異なる場合があります。
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