ストーリーの概要
本書は、主人公である数学者・ナッシュが自己完結型の社会から脱却し、愛という言葉を知り算数が得意な少女との出会いを通して再生していく姿を描いた物語です。ナッシュは、数学に没頭しあらゆる問題を解きあてた天才数学者でありながら、社会性に欠け、自分の命を差し出す危険すら顧みない状態に陥ってしまいます。しかし、出会った美しい数学者エイリアンナのおかげで一時は健気に戦っていたナッシュも、彼女との結婚やその後、悪性度が特に強い病気を患ってしまうことで、再生していきます。
感想
物語の始まりは緊張感に満ちている舞台裏に主人公ナッシュが登場する様子から始まります。ナッシュは、社交的な彼女たちをかわして、数学的手法で問題を解決する天才です。しかし、彼の数学的能力が危険なものであることが物語の中盤で明らかにされ、彼と関係を持った人たちが被害を受ける展開に。そんな中でも、ナッシュが見つけた美しい数学創造物の美しさ、それに鳥肌が立つ言葉遣いに感動しました。また、エイリアンナとの結婚後のシーンでは、ナッシュが持つ数学的魅力的な妻を通して、数学者の数多く感性や色触れ合いが描かれていることに大変感動しました。
全体評価
本書は、数学的にも心理学的にも非常に深いテーマを扱った作品です。この作品を読むことで、数学が本当に大切なことであること、どのように数学者が生き生きと活躍することができるのかということ、そして、慈愛の感覚が生じるということなど、多くのことを学ぶことができました。全体的な印象としては、学生時代に文学の教育をしていたことを想い出したような感覚を感じました。本当に大変勉強になるし、オススメの一冊です。
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