「ノルウェイの森」レビュー

作品概要

「ノルウェイの森」は村上春樹の小説である。1987年に発表され、人気を博した作品である。主人公の早乙女トオルが、大学時代から10年間に渡って、但馬の片田舎や東京で過ごす物語である。

本作は、後に「戦場が女の顔をしていた」という作品でも得意とする村上春樹作品の味わい深さを持つ。アルバイトの仕事が続かず、中途退学という苦汁を飲む早乙女トオルは、ポスト外交官を目指し、英語の勉強をはじめる。

そんな彼が出会ったのが、起死回生を期して東京にやってきた森君だった。不良時代からの友人である氷室に、自らの命懸けの立ち回りを依頼されたトオルは、従順な日本人の青年森を守るため、巻き込まれることになる。

早乙女トオル: 就職に失敗し、中途退学してしまった主人公。ポスト外交官を目指して勉強中。
森君: 東京に現れたミステリアスな青年。氷室と早乙女の話を聞き、「ひとときでも普通の人生を謳歌したい」と願う。
氷室: 馬路渡りを旗揚げした不良グループ、氷室ファミリーのリーダー。

「ノルウェイの森」は、難解なビジネスや外交を扱った村上作品とは違い、比較的ストレートで分かりやすいストーリー展開となっている。登場人物たちの持つ個性も豊かで、読者を引き込む描写は素晴らしい。

また、本作で描かれる自殺願望や恋愛の葛藤など、人間臭さの描写に注目が必要であろう。特に青春期にある苦悩や自分探しに共感する読者も多いのではないだろうか。

総じて、村上春樹の代表作の一つであり、日本近代文学の名作として高く評価されている。推薦度は非常に高く、一度読むだけでなく、「ノルウェイの森」に再度触れてみる価値はあると言えるだろう。

参考文献

村上春樹「ノルウェイの森」中公文庫、1987年。

村上春樹「Norwegian Wood」Vintage Books、2000年。