『銀河英雄伝説』全10巻 レビュー

概要

『銀河英雄伝説』は、作家・田中芳樹氏によって1982年から1987年まで雑誌連載されたSF小説です。戦争と政治を巡る複雑で深いストーリー、キャラクターたちのドラマチックな交流を描き、国内外で絶大な人気を誇りました。その後、アニメ化や舞台化など多岐にわたるメディアミックス展開もされ、現在に至るまで多くのファンを魅了し続けています。

本書は、”銀河帝国”と”自由惑星同盟”という対立する二つの勢力の戦いを描く全10巻の小説を特別版としてまとめた一冊です。登場人物たちの人間模様、思惑が複雑に交錯する様子、その世界観の重厚感などが存分に詰め込まれています。

評価

本書を読んで私が感じたのは、「深みがあって、奥深さが増していく作品」ということです。第一巻から第十巻まで一気に読んだのですが、最後まで飽きずに読み進めることができました。

常に大局を見据えつつ、登場人物たちの心理描写が丁寧に描かれており、それが作品のドラマチックな表現に繋がっています。敵味方関係なく、全ての登場人物たちに魅力があり、どのキャラクターにも感情移入してしまいます。私自身は特に銀河帝国の女帝「ヒルダ」が好きでした。彼女の強気で孤高な存在感や、政治家としての手腕、そして愛と孤独といった複雑な人間性に惹き込まれました。

また、ストーリーが中盤以降、ひとつの決着に向かいいよいよとなるシーンがあり、それまでの登場人物の思惑や過去を総動員して、凄まじい規模の戦争が展開されます。その戦争を緻密かつスリリングに描き、学術的な背景なども適切に盛り込む田中芳樹氏の筆力は本当に素晴らしいと思います。

まとめ

『銀河英雄伝説』は、日本SFを代表する傑作です。本書では、その重厚なストーリーや深い人間模様、思惑といった本作の魅力が余すことなく収められています。一度読んでみることをおすすめします。


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