「羊と鋼の森」レビュー

登場人物とストーリー

「羊と鋼の森」は、1990年代後半の日本を舞台にした小説です。物語の主人公であるピアニストの田辺耕作を中心に、彼が住む山村の人々や、音楽大学の学生たちが登場します。

物語は、田辺が音楽に熱中するあまり、家族との関係が壊れ、故郷から出て音楽一筋の生活をしてきたところから始まります。しかし、彼がピアニストとしてデビューすることになり、故郷での演奏会を行うために、再び故郷に戻ります。そして、そこで出会った音響技師の藤原や、彼が育てる杉の木たちとの触れ合いを通じて、田辺は音楽が「自分だけのもの」であることを再認識し、音楽人として成長していきます。

良かった点

この小説の魅力は、音楽と自然が描かれた美しい描写です。作者の村田沙耶香さんは、実際に田辺と同じようにピアニストとして活躍しており、音楽に対する愛情が伝わってきます。また、藤原が育てる杉の木たちの生命力の強さや、自然の中で過ごす時間が田辺に与える影響も、読み手に深い印象を与えます。

また、登場人物たちの人間臭さがリアルに描かれている点も魅力的です。田辺の家族や、音楽大学の学生たちがそれぞれの人生を歩んでいることが描かれており、彼らとともに成長する田辺の姿も感動を与えます。

改善してほしい点

この小説の一つのテーマは、音楽を通じて自分自身を見つめることだと思います。しかし、物語の中でそれがどのように描かれているのか、もう少し分かりやすく説明してほしかったと思います。また、小説の終盤で起こるトラブルの行方についても、もう少し詳しく描かれていると良かったと思います。

まとめ

「羊と鋼の森」は、音楽と自然が調和する美しい物語です。登場人物たちのリアルな人生に共感しながら、彼らとともに成長することができます。一方で、もう少しテーマが分かりやすく説明されていたり、トラブルの行方についても詳しく描かれていたら、もっと良い作品になっていたかな、という気がします。しかし、作者の音楽への愛情が伝わる美しい描写には心を打たれました。


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