『ノルウェイの森』レビュー

ストーリー

原田マハの代表作『ノルウェイの森』は、学生時代に交際していた女性・直子と、彼女の自殺をきっかけに向き合うことを拒んでいた主人公・トオルの物語である。トオルは、直子の死後、彼女の妹・真理と再会し、そして、彼が大学入学時に出会った無気力少女・古知屋恵子との三角関係の中で、自分が抱える過去や現在の心の葛藤と向き合うことになっていく。

魅力的な点

『ノルウェイの森』は、青春小説と呼ばれる作品の中でも、生々しく、現実的な描写が際立っている。主人公であるトオルの視点から描かれる直子や恵子の心情や、それぞれが抱える過去のトラウマなど、登場人物たちの心のうちを抉るような描写が印象的である。また、著者の繊細な文章表現によって、登場人物たちの感情の移り変わりが非常にリアルに描かれている。この作品からは、恋愛や友情、さらに人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる可能性がある。

不満な点

一方で、本作には、登場人物たちの苦悩や心理描写が詳細に描かれることで、ストーリー自体の進行が緩慢に感じる部分もある。また、主人公であるトオルの内省的な性格が強調されているため、作中での他の登場人物たちの掘り下げが足りていないと感じる読者もいるかもしれない。

まとめ

『ノルウェイの森』は、様々な人間模様が織り成す青春小説であり、登場人物たちの内面を描いたリアルな心理描写が魅力である一方、ストーリーの進行が遅いと感じる読者もいるかもしれない。それでも、本作からは、恋愛や友情、人生観などを考えるきっかけを得られる可能性があるので、一度手にとって読んでみることをおすすめする。