『1Q84』ハルキ・ムラカミ

物語の概要

本作は、1Q84と呼ばれる世界に潜む奇妙な事件を、主人公の三浦咲子と天才作家・桐原書店で働く主人公の一つ下の同級生・御厨が追う姿を描いた小説です。

登場人物

・三浦咲子：ムーンライト・コウモリ殺しの事件を目撃し、事件解明を目指す。
・御厨：天才作家。1巻以降の物語は御厨と早乙女が主人公の視点で語られることが多い。
・桐原書店の従業員：木村、中嶋、原田、小林など、本作には多くの登場人物がいます。

感想

本作は、年月を感じさせる長編小説ですが、必ずしも難解ではありません。登場人物たちが立派にエピソードを迎えるため、縦断的に構成されているので、長編ながらスピード感があります。物語は度々妄想的な要素によってゆがみますが、この要素こそが著者が独自の文学的世界観を表現することができた理由です。
また、1Q84の世界観に浸りたい読者には、この作品はもう一度読み返すことができるのが魅力的です。登場人物たちのモノローグや回想シーンは、差し替えながらリピートして読むことで、1つ1つの要素に深く浸ることができます。
一方で、作品には多くの謎が含まれており、物語を読み進めるにつれて、解き明かされることがほとんどありません。それでも、読者を引き込むストーリー展開や秘密の要素は、この作品の魅力そのものです。
総じて、この作品は、献本したエディションを読んで、終わった後、自身が再度読んだとしても、1Q84と呼ばれる架空の世界での秘密の戦争の謎は解けません。しかし、もし熱狂的なファンであるなら、繰り返し読み、ある程度整理し、自分なりの理解を持ち続けることができます。