あらすじ
本書は、数学者である主人公・岸本の人生と、彼の作り上げた「理論X」について描かれた小説である。岸本は孤独な日々を過ごしていたが、ある日、彼の隣人である老女性・永山から、「彼女の孫娘に数学の授業をしてほしい」と頼まれる。岸本は、彼女と出会い、再び数学に熱中するようになる。岸本は彼女に、彼が長年追い求めていた「理論X」を教えることになるが、彼女はある理由からその理論を「武器」として使いたいと思っていた。
感想
本書は、1つの数学理論を中心に、主人公の人生や過去、恋愛などの要素も含まれた物語である。数学や科学にあまり馴染みがない読者でも楽しめるよう、数学の解説は分かりやすく書かれている。また、作品中に登場する美しい言葉や哲学的な言い回しにも、心が洗われるような気持ちになった。しかしながら、物語のテーマが一貫性を欠いている印象もあった。数学を中心に、主人公の孤独や恋愛、人生の意味などが混ざり合っていて、どこかわかりにくくなっていた。
まとめ
「博士の愛した数式」は、少し異色な物語であり、数学好きな方には是非読んで欲しい作品となっていると思われる。著者の愛知周子さんは、非常に美しい言葉を駆使して、哲学的な世界観を表現してくれる。しかしながら、物語のテーマがやや分散していて、読む側が混乱することもある。全体的には、おすすめの読み物といえる。
参考文献: 愛知周子,「博士の愛した数式」(2003),東京:文藝春秋.
コメントを残す