書籍「村上春樹　世界の中心で、愛をさけぶ」のレビュー

あらすじ

この小説は、主人公であるワタルが自分自身の過去と向き合い、そして響子という女性と出会うことで、徐々に自分の人生について考え始めるようになる物語である。物語は、ワタルの過去と現在を行き来しながら進んでいく。ワタルは、学生時代に天才少女だった青山真理と出会い、彼女が失踪してから10年後に再会することになる。そして響子との出会いを通じて、自分の過去と向き合いながら、現在に生きることの大切さを学ぶ。

感想

村上春樹の小説は、いつもどこか切なさを感じさせる作品が多いが、この小説も例外ではない。主人公ワタルが抱える過去のトラウマと、再会した青山真理の運命に涙が止まらなかった。また、響子との出会いも繊細かつドラマチックで、物語全体に奥深さを加えていた。

本作は、村上春樹が得意とする文体が存分に活かされており、一つ一つの単語にも意味が込められているように感じた。また、ワタルの心の変化が描かれる過程も、非常に丁寧かつ細かい描写がされており、読者自身が共感できる部分が多数あった。

総じて、本作は村上春樹のファンであれば絶対に読んでほしい作品である。物語の最後に「世界がこの小説のようにであればいいのに」と感じられるような、希望を感じられる結末になっていた。

参考文献：

村上春樹 (1994)。『世界の中心で、愛をさけぶ』。新潮文庫。