『ノルウェイの森』

村上春樹

『ノルウェイの森』は、村上春樹が1987年に発表した小説です。主人公のトオルと、彼が出会った2人の女性、ナオコとレイコの織り成す青春群像劇です。

本作は、登場人物たちの内面に迫りながら、青春の美しさや複雑さを描いています。トオルが大学生時代に出会ったナオコは、変わり者で社交的ではありませんが、何かを抱えているように見えます。一方、トオルの元ガールフレンドであるレイコは、明るくさばさばしていますが、トラウマから抜け出せずにいます。

村上春樹独特の哲学的でありながら、儚く美しい言葉遣いや表現が見所です。また、ビートルズやビリー・ホリデイなどの音楽、旅、自然、死、愛といったテーマも織り込まれていて、読後に考えさせられる素晴らしい作品です。

ただし、物語はあくまで登場人物たちの内面を描いているため、ストーリー自体はゆっくりと進む傾向があります。また、登場人物同士の会話も、長めのモノローグが多めであるため、読みやすさに難があるかもしれません。

全体的には、新しい価値観を求めた1980年代を舞台に、青春というテーマを丁寧に描いている『ノルウェイの森』は、村上春樹ファンはもちろん、青春小説が好きな人にもおすすめできる作品です。

レビューを書いた：〇〇〇〇