ストーリー
本作は、30歳の独身女性・古倉恵子がコンビニで働く日々を描いた小説である。恵子は、自分自身が社会に適応できていないことを痛感し、その中でコンビニでの生活が自分にとって適切な選択であると考えている。そんなある日、揃いも揃って恋愛に縁がない3人の同僚とともに、恵子は同居することになる。しかし、彼女たちは恵子の環境に違和感を覚えるようになり、彼女自身も自分が本当に望んでいる生き方は何かを模索するようになる。
感想
『コンビニ人間』は、現代社会に置かれた人々の孤独や孤立を真正面から描いた小説だ。恵子がコンビニでの生活を選んだ理由や、同僚たちとの関係性、さらには彼女たちが結局彼女を理解できなかったことを通し、どこか物悲しい感情を感じずにはいられない。しかし、作中で描かれる人間関係は、人々が本当に必要とするものの一例でもある。恵子は、自分に合わないとわかっている社会の中で、自分に合った環境を見つけ、自分らしく生きることができた。そして、そのことが、物語の最後に示される希望となる。
まとめ
『コンビニ人間』は、現代社会に置かれた人々の孤独や孤立を描いた小説であるが、一方で自分に合った環境を見つけ、自分らしく生きることができる希望を与えてくれる作品だ。サブカルチャーやマイノリティなど、社会の片隅に置かれた人々が本当に必要とするものを追求し、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれると思う。是非、読んでみてほしい作品である。
参照:村田沙耶香 『コンビニ人間』 2016年 刊
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